のどイガイガ・咳が止まらない…生活に潜む意外な原因とは?

今日は「咳過敏症」という
新しい病気についてご紹介
します。
■咳は体を守る大切な反応だけれど…
咳はホコリやウイルスを体の
外に押し出すための自然な
防御反応です。通常なら風邪など
で数週間咳が続いても自然に
治まります。
ところが、8週間以上咳が長引き
「慢性咳嗽(まんせいがいそう)」
と呼ばれる状態になる人が
全国で約300万人いるといわれて
います。
この“長引く咳”の原因のひとつ
として近年注目されているのが
「咳過敏症」
です。
■咳過敏症とは?
咳過敏症は、エアコンの直風、
柔軟剤や香水のにおい、たばこの
煙、さらには会話や笑いといった
些細な刺激で咳が止まらなくなる
病気です。
患者さんは
「のどの乾燥やイガイガ感が続く」
「常に咳の衝動に駆られている」
と訴えることが多く、
“隠れ慢性咳嗽”とも呼ばれています。
2025年に改訂された
「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン」
では、これまで原因不明とされて
いた咳の一部が「咳過敏症」として
明記され、治療対象として認められ
ました。
■生活への影響は深刻
咳は夜間や早朝、花粉シーズン、
気温変化で悪化しやすく、睡眠不足や
集中力低下を招きます。
仕事効率が下がり、人によっては
外出を控えたり、運転を諦めたり
することも。
女性では咳の勢いで尿もれが
起きることもあります。
重症では肋骨を折ったり、
強い咳で意識を失うケースも
報告されています。
■なぜそんなに咳が出やすいのか?
咳過敏症の人は、気道に分布する
神経が通常より多く敏感で、さらに
脳の「咳反射を抑える回路」も弱い
ため、神経ネットワーク全体が
過敏に傾いています。つまり、
わずかな刺激でも咳が誘発され
やすいのです。
■診断と治療
受診は呼吸器内科がおすすめです。
咳が続いている期間、出やすい状況
(冷気や香水など)、試した薬とその
効果をメモして伝えると診断が
スムーズです。
2021年には「P2X3受容体拮抗薬」
という新薬も登場しました。
これは気道の神経の過敏反応を抑え、
咳をコントロールする効果が
期待されています。
■咳を防ぐ生活の工夫
治療とあわせて生活の工夫も
大切です。
・食後すぐ横にならない
・大食いや早食いを避ける
・コーヒーやチョコレート、
脂っこい料理を控える
(胃食道逆流を予防するため)
・マスクでのどを守り、
こまめに水分をとる
・自分の咳の“きっかけ”を知り、
できるだけ避ける
■咳が出そうになったときの対処法
「咳が出そう!」という瞬間に、
次のような方法で和らげることが
できます。
→顎を引いて胸に近づけ、少量の
水分を意識的に飲み込む
→両手を強く合わせて息をこらえ
ながら飲み込む
→氷や飴をなめる、ガムをかむ、
口をすぼめて呼吸する
さらにおすすめしたいのが
胸のマッサージ です。
咳の衝動で胸の筋肉が緊張すると
呼吸が浅くなり、余計に咳が
誘発されます。そんな時は、
を使って胸元をやさしくマッサージ
してみてください。
保湿しながらほぐす効果を与え、
呼吸が楽になりやすくなります。
◆まとめ
咳過敏症はまだ新しい概念ですが、
治療薬や生活工夫で改善できる時代に
なりました。長引く咳に悩んでいる方は
「ただの体質」と諦めず、医療機関で
相談してみてください。
そして日常では、のどを守り、咳を
和らげる工夫を取り入れていきましょう。